指月村サイコパス・ゲーム等あれこれと好きなものの感想のっけてます 

この記事に含まれるタグ :
読書  

小説『白い巨塔』読了

   ↑  2015/05/27 (水)  カテゴリー: いろいろ
感想。

財前五郎には至らない点が多々あったけど、どうも最後まで憎めなかった。
一先ず正編である三巻まで読み終わって感じた事は
財前が誤診した遠因は、東にもあるのではないかということ。
というのもあの時東がすんなり財前を次期教授にと望めば
財前もあんなに色んな人を巻き込んで躍起になる事もなかったわけで
その教授選のおかげで東憎しの感情が高まって、勝ったことによって得意の絶頂になってしまって
更にはドイツに行く話がきて留まる事を知らない天狗状態に陥った、とみたんです。
なので東がスムーズに次期教授にと選んでくれたら
まだ医師としての忘れてはならない気持ちが残ったままだったのではないかと思った。
たとえ誤診は免れないとしても、財前の野望を肥大化させた一因だと思う。
それがなければ鵜飼と手を組むこともなかったんだし
又一はもちろん岩田等も出てこなかったんだし。

そして教授選をみておののいたのが、
財前派の誰もが財前個人を心から推したいと思っておらず
全ては自分の為に動いているってことに背筋が凍りました。
財前派に限らず東だって、財前に反感を覚えたのもあるけどリモコンがきくからという理由で菊川を推していた。
舅の又一については自分が獲得できなかった教授という名誉を、自分の代わりにもらってほしい。
財前の事を優良株とか娘に言っていて、
財前に見込みがあるからこそ投資しているのであって
自分の野望を達成できないとなるとすぐに手を放しそうだなと
情なんてそこにはないんだろうなと薄ら寒くなりました。
なので、五巻までの感想として話は飛びますが
財前が胃癌と判明した折、鵜飼も又一も自分の野望が達成できなくなると
使えなくなった駒と見なし、なんでこんな所で胃癌になんてなるのかと
冷たい眼差しでみるのかとおもったら違ったのが意外であり少し救われた思いでした。

自分が無理をさせたんだと、五郎すまんと号泣する又一に
自分が学術会議選挙に引き込まなければ早期発見ができたのではと呵責を覚える鵜飼をみて
彼らにも心はあったんだと思った。

医者としての良心、あるべき姿を
里見や裁判官に指摘されて顔をゆがめる心はまだ持っているのに、
又一や鵜飼など権威・名誉欲旺盛な人々に囲まれているとそんな良心を振り払ってしまう。
どんどん汚くなっていく。でもそこには黒川五郎としての姿もちらりとはみえる。
だからどうしても財前を憎めなかったし、ドイツの学会に呼ばれたときの天狗っぷりは
どんだけ鼻が伸びるんだというほど得意絶頂で、妙に微笑ましく感じた。
佐々木さんへの誤診は明らかだったし嘘に嘘を塗り固める手段は汚かったけど
財前が人として完璧ではないことと、彼の弱った姿や心の内を知っているからか
裁判ではずっと財前を応援してました。
なので三巻で勝訴した時はほっとしたなぁ。
患者から見れば人を選ばず丁寧な里見に見てもらいたいけど
メスは斬れるが人としては欠点がある財前に魅力を感じた。

馬鹿な子ほどかわいいというか、
天狗になってまた変なことしないかとやることなすことに心配した。
加奈子の件とかな!
柳原への責任転嫁とか、その前の、証言終わった柳原はもはや用済みで何を言ってもいいと思ったのか
皆の前で貶したりとか、それはないよってことをする。あいつ(財前)。

裁判については佐々木さんの方に正義はあるけど、
早期中の早期発見をしたのは里見・財前の手柄であるというのに
それは棚上げしてその他の検査をしなかったから悪化したというのは、どうなんだろうとおもう。
そんな追及されるなら、もう早期発見しなかった方がよかったじゃないか。
財前側の証人の教授が述べていたように、
一々すべてを疑って検査していたら大学はたちまちストップしてしまうのはうなずけたし
財前自身も述べていた、医者は万能の神ではないんだから、
原告側の言い分が通るのは、医学界には由々しきことなんじゃないかなぁと納得できかねます。
財前が検査を怠ったのは事実だし非はあるけど、敗訴はあんまりじゃないかなと思いました。

大体、財前は佐々木さんと一審後に和解すればよかったのにとおもう。
一審の判決を踏まえて自分にも非はあったとして、そこは詫びておいて
佐々木商店が立ち行くように何らかの援助をしたら、佐々木側も少しは落ち着いたのではと思う。
二審まで進まなかったんじゃないかなと。
そこらへん自分の立場がそれを許さなかったのかなぁ。
勝訴はしたけど負けた方にも情をかけるというのは、別に悪いことではないと思うんだけど。
流石財前教授だと、逆に立場をよくするんじゃないかな…。
そこを見抜いて佐々木側が逆上するかもしれんけど。

続編は東佐枝子の行動やら、里見の紹介による関口弁護士の躍進やら
財前を応援している身にとってハラハラした。
特に佐枝子さんと里見の微妙な恋愛模様はやめてほしかった。
里見の妻に非はないし、目の前の美しい風景を佐枝子とみたかったという里見の想いが描かれてたけど
そりゃあ里見の行動を全面的に支持する佐枝子は、里見にとっては休息できる存在だろうよ。
最終的に何もなかったので安心したけど、佐枝子の感情は本人の意思によって
父そして里見本人どころか里見の妻にも暗に知らせていて、取らないのに何でそこまでするんだ…と引く思いがした。

続編は審議を重ねる程に劣勢になっていって、
暗雲がたちこめていたところに財前の病魔もちらほら見え隠れし、非常に暗い気持ちで読みました。
あんなに欲に埋もれていた財前だったけど、最後の手紙には医師としての立派な姿があって
惜しい人を亡くしたなぁと悲しくさびしくなった。
最後の転落が救いがなくってさぁ。
手術不能な癌だなんて、憐みがなさすぎる。
あいつだって頑張ってきたんだよ、忙しかったんだよ、いいところあったんだよ、
ドイツ帰りに里見に万年筆のお土産に買って帰ったんだよ!
最終的には病人として、執刀医が毎日来てくれることのありがたさを身を以て知ったわけだけど、
裁判に負け、さらには死を免れない癌になり、
癌についても周囲に口を噤まれたまま死んでしまうというのが不憫だった。
それなのに自身の病気についての見解を医者として書き記していて、
欲にまみれず、教授になったらあとはもう医学の道を突き進んでいればよかったのにと落胆しました。
財前が最後に頼れ信頼できるのは里見であった。
執刀医は過去人間関係を断ち切られた東を希望した。
そして東もそれを受け、財前を助けようとしたことが感慨深かった。

はー。とにかく面白くって、本を読むのは電車の中で
いつもはすぐ寝るんだけどむさぼるように読破した本だった。
関連記事

この記事に含まれるタグ : 読書 

http://akmpk.blog.fc2.com/blog-entry-328.html

2015/05/27 | Comment (0) | HOME | ↑ ページ先頭へ ↑ |
この次の記事 : 剣が君 for V~鈴懸ED~感想
この前の記事 : 剣が君 for V~螢ED~感想

Comment

コメントを投稿する 記事: 小説『白い巨塔』読了

お気軽にコメントをどうぞ。
非公開 (管理人のみ閲覧可能なコメント) にしたい場合には、ロック にチェックを入れてください。

  非公開コメントとして投稿する。(管理人にのみ公開)
 
この次の記事 : 剣が君 for V~鈴懸ED~感想
この前の記事 : 剣が君 for V~螢ED~感想